大小関係のある場合の数の求め方
A, B, C, Dの4人がサイコロを順番に1回ずつ投げて, 出た目の数が前の人の出た目の数以下になる場合の数はいくつあるでしょうか。すなわち, A≧B≧C≧Dとなる場合の数はいくつあるでしょうか。
いきなり4人で考えるのではなく, まずは2人の場合を考えてみましょう。
目次
A≧B型の解き方
AとBの2つだけなので, 樹形図よりも表の方が便利です。列挙すると次のようになります。
Aの目\Bの目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
1 | (1, 1) | (1, 2) | (1, 3) | (1, 4) | (1, 5) | (1, 6) |
2 | (2, 1) | (2, 2) | (2, 3) | (2, 4) | (2, 5) | (2, 6) |
3 | (3, 1) | (3, 2) | (3, 3) | (3, 4) | (3, 5) | (3, 6) |
4 | (4, 1) | (4, 2) | (4, 3) | (4, 4) | (4, 5) | (4, 6) |
5 | (5, 1) | (5, 2) | (5, 3) | (5, 4) | (5, 5) | (5, 6) |
6 | (6, 1) | (6, 2) | (6, 3) | (6, 4) | (6, 5) | (6, 6) |
よって, 場合の数は21通りです。ただし, 表は2人の場合は便利ですが, 3人になると途端に扱いづらくなります。ここで, 表や樹形図に頼るのではなく, 別のものに置き換えて考えていきます。
どうやって置き換えるかというと, サイコロの目が6通りあるので, 〇を5個用いて, 並べます。 ○ ○ ○ ○ 〇
そして, 次のようにします。 6の目〇5の目〇4の目〇3の目〇2の目〇1の目 出た目の数を|で置き換えます。例えば,
〇〇|〇〇|〇 としたら, |は4の目と2の目の場所に該当しますので, (A, B)=(4, 2)と対応しています。
実際に見ていきましょう。
(1, 1) | 〇〇〇〇〇|| |
(2, 1) | 〇〇〇〇|〇| |
(3, 1) | 〇〇〇|〇〇| |
(4, 1) | 〇〇|〇〇〇 | |
(5, 1) | 〇|〇〇〇〇 | |
(6, 1) | |〇〇〇〇〇 | |
(2, 2) | 〇〇〇〇||〇 |
(3, 2) | 〇〇〇|〇|〇 |
(4, 2) | 〇〇|〇〇|〇 |
(5, 2) | 〇|〇〇〇|〇 |
(6, 2) | |〇〇〇〇|〇 |
(3, 3) | 〇〇〇||〇〇 |
(4, 3) | 〇〇|〇|〇〇 |
(5, 3) | 〇|〇〇|〇〇 |
(6, 3) | |〇〇〇|〇〇 |
(4, 4) | 〇〇||〇〇〇 |
(5, 4) | 〇|〇|〇〇〇 |
(6, 4) | |〇〇|〇〇〇 |
(5, 5) | 〇||〇〇〇〇 |
(5, 6) | |〇|〇〇〇〇 |
(6, 6) | ||〇〇〇〇〇 |
このように対応させることによって, 〇と|の重複順列を考えればよいことになります。〇5個と|2個の順列に等しいから, 重複順列を考えて, \(\displaystyle\frac{7!}{5!2!}= \displaystyle\frac{7×6×5!}{5!×2}=21 \)(通り)
A>B型の解き方
今回も6の目〇5の目〇4の目〇3の目〇2の目〇1の目 を対応させます。A≧B型と違い, 〇〇〇||〇〇 のような同じ目が出ないようにします。これを排除して, 表のオレンジ色の場合の数だけを求めるには, 5個の〇の, 両端および間からそれぞれ2か所を選べばよいです。
つまり, ^〇^〇^〇^〇^〇^の6か所の^から2か所選べばいいので, \({}_6\mathrm{C}_2=15\) (通り)
A≧B≧C≧D型の解き方
さて, いよいよ4人について考えますが, 2人の場合とやることはほとんど変わりません。 A, Bの2人だったので, |は2個でしたが, 今回はA, B, C, Dの4人いるので, |を4個用意します。求める場合の数は, 〇5個と|4個の重複順列であるので, \(\displaystyle\frac{9!}{5!4!}= \displaystyle\frac{9×8×7×6×5!}{5!×4×3×2}=126 \)(通り)
A>B>C>D型の解き方
A>B型の解き方では, A, Bの2人だったので, ^から2か所を選びました。A>B>C>Dでは, 4人いるので, 6つの^から4か所を選びます。 よって, 求める場合の数は, \({}_6\mathrm{C}_4=15\) (通り)
A>B≧C>D型の解き方
これは一度に考えることができません。ここで, ≧ ⇔ >+=であるので,
A>B≧C>D ⇔ A>B>C>D + A>B=C>Dと考えることができます。
A>B=C>D の場合の数は, A>B>D と同じです。
上記の問題と同様に考えて, \({}_6\mathrm{C}_4+{}_6\mathrm{C}_3=15+20=35\)(通り)
いかがでしたでしょうか。よかったら次の記事も読んでくださいね。