不定方程式\(ax+by=1\)を満たす整数解の組\((x, y)\) の求め方
これを解くには, ユークリッドの互除法を使った方法と, 合同式を用いた方法により解くことができます。どちらが自分にとってわかりやすいか, \(76x+59y=1\)・・・①を例に考えていきます。
ユークリッドの互除法を用いた解き方
まず, 76を59で割り, 商と余りを出します。
\(76=59×1+17\)・・・②
同様に59を17で割っていき, 余りが1になるまで計算していきます。
\(59=17×3+8・・・③\)
\(17=8×2+1・・・④\)
②, ③, ④をあまり\(=\)の式に変形すると,
\(\color{blue}{76}-\color{red}{59}×1=\color{magenta}{17}\)・・・⑤
\(\color{red}{59}-\color{magenta}{17}×3=\color{yellowgreen}{8}\)・・・⑥
\(\color{magenta}{17}-\color{yellowgreen}{8}×2=1\)・・・⑦
⑦式は, \(17x+8y=1\)を満たす整数の組の1つは, \((x, y)=(1, -2)\)であることを示しています。
私たちのゴールは\(76×〇+59×△=1\)となる〇や△を見つけることです。
そこで, 不要な17や8を⑥, ⑤式を利用して①式の形にします。
⑦式に⑥式を代入すると,
\( \color{magenta}{17} -( \color{red}{59} - \color{magenta}{17} ×3)×2=1\)
\( \color{magenta}{17} , \color{red}{59} \)を残すように変形すると,
\( \color{magenta}{17} - \color{red}{59} ×2+ \color{magenta}{17} ×3×2=1\)
\( \color{magenta}{17} ×7- \color{red}{59} ×2=1\)・・・⑧
今度は不要な\( \color{magenta}{17} \)を消去するために, ⑤を代入すると,
\(( \color{blue}{76} - \color{red}{59} ×1)×7- \color{red}{59} ×2=1\)
\( \color{blue}{76} ×7-59×7- \color{red}{59} ×2=1\)
\( \color{blue}{76} ×7- \color{red}{59} ×9=1\)
よって, \((x, y)=(7, -9)\)が①を満たす整数解の1つです。
\begin{cases}76x+59y=1・・・①\\76×7+59×(-9)=1・・・⑨\end{cases}
①\(-\)⑨より,
\(76(x-7)=-59(y+9)\)・・・⑩
76と59は互いに素であるので, \(x-7\)は59の倍数である。
\(x-7=59k (k\)は整数)とおけます。これを⑩に代入すると
\(76×59k=-59(y+9)\) よって, \(y+9=-76k\)
\(y=-76k-9\)
これより, \((x, y)=(59k+7, -76k-9) (k\)は整数)
合同式を用いた解き方
76と59の小さい方である, 59を法として考えます。すると, ①は, \(76x≡1\)(mod 59)・・・⑪
76=59×1+17であるから, \(76≡17\)(mod 59) すなわち, \(17x≡1\)(mod 59)・・・⑫
次に17に数字を掛けて, 59を超えるようにしていきます。3だと届かないので, ⑫の両辺を4倍すると,
\(68x≡4\) すなわち, \(9x≡4\)(mod 59)・・・⑬
⑫\(-\)⑬より, \(8x≡-3\)(mod 59)・・・⑭
⑬\(-\)⑭より, \(x≡7\)(mod 59)・・・⑮
よって, \(x=59k+7(k\)は整数)
\(76x+59y=1\)・・・① の\(x\)に7を代入すると,
\(59y=1-76×7=-531, y=-9\)
これより, \(76×7+59×(-9)=1\)・・・⑯
①に\(x=59k+7\)を代入すると, \(76(59k+7)+59y=1\)
\(76×7+59(76k+y)=1\) ・・・⑰
⑯\(-\)⑰より, \(76k+y=-9\)
よって, \(x=59k+7, y=-76k-9(k\)は整数)
いかがでしたでしょうか。ここはなかなかわかりづらいところだと思います。気になる箇所がある場合は質問していただければと思います!